松本 久子

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松本 久子
グランマーマのお針箱(bib-bab) 代表

「30年後の幸せに投資をする」を理念に金融教育事業を展開する「ファミスク」

今回は、60歳から起業したオリジナルのおしゃれなスタイを販売するグランマーマのお針箱(bib-bab)代表を務める松本久子さんのヒストリーのご紹介です。

インタビュー

ーまずは、松本さんのこれまでの経験や環境について教えていただけますか?

子ども時代は父の転勤で、九州から北海道まで転校や引っ越しが多く、ゆっくりと好きなことをやったり、考えたりすることができませんでした。

結婚してからも、上の3人は年子である4人の子育て、実の両親の介護などで忙しく、日々時間に追われる生活で自分の為の時間がなかなかとれない毎日でしたが時代もあるのでしょうが大きな不満もなく私らしく振舞えていたこともあり、充実した毎日でした。

ー神戸発おしゃれなスタイ(よだれかけ)が大人気のbib-babですが、スタイを作ることになったきっかけは?

次男夫婦に誕生した初孫が大変な“よだれっ子”で、一日に何回もよだれかけを取り替えたり、洋服まで染みて着替えさせたり。市販品のスタイでは薄くてサイズも小さく孫のよだれをキャッチするには心もとなかったので、自分でタオル地で実用的なスタイを作り出しました。そんなある日、孫のママが、「可愛い恰好をさせてお出かけしても前面にあるスタイでお洋服が隠れてしまう、お出かけ用の可愛いスタイがあったらいいのに。」とつぶやきました。

「そうだ、お出かけ用の可愛いスタイを作ってみるわ。」

世間では義母が孫にくれるものがママの好みと合わなくて困っているという声もあふれている中、嫁にそんな気遣いをさせたくないという姑としてのプライドもありました。
お嫁さんに本心から喜んでもらえ、上質でお洒落でありながらも吸水性などの実用性にもこだわったスタイを作ることにしました。そこから試行錯誤の日々が続いたのでした。
60歳からの挑戦でした。

ー周囲の人の反響は?

とてもよかった。
4人の子どもとそのパートナー全員が、「これは売れる!」と言ってくれました。
子どもたちの友人も子育て世代でしたから、そちらからもよい反応をいただいて。子どもたちの後押しで、ネット販売で起業する流れになりました。

ー起業は順調でしたか?

アパレルやデザイナー経験のない私が、自分のオリジナルデザインのスタイを売り、お金をいただいていいものなのか、自信がありませんでした。周囲の人たちからは高評価をもらっていましたが、世間はどうみるのか不安がありました。何かしら手がかりを得たくて、長男が勧めてくれた、神戸市の産業振興財団が主催する起業を応援するプログラム、『KOBEドリームキャッチプロジェクト』(以下、PJ)に応募してみることにしました。PJに採用されたら、自分に不足する点などのアドバイスがいただけると思ったのです。世の中の評価を知って、改良に繋げたいと思いました。

ー『KOBEドリームキャッチプロジェクト』の申請はどのように?

初めてと言っていいほどの公的な書類です。私にとっては枚数も多く、申請書類の作成がとても大変でしたが、子どもたち4人が全面的にサポートしてくれました。なかでも長女は書類の作成が得意でしたので、事業計画書の作成にはとても大きな力を貸してくれました。申請書類を書き進める中で、「事業を立ち上げるとはどういうことか」、「私は何を目指したいのか」という点を深く追求する必要がありました。それまで専業主婦であった私が、はじめて自分と向き合い、やりたいことを考え抜くことで、皆に喜ばれるスタイを作って販売するんだという意識も高まってきました。

息子3人は営業活動や開発アイデアを提案してくれ、PJの応募は家族全員で一丸となって取り組みました。

ー『KOBEドリームキャッチプロジェクト』の結果は?

おかげさまで、最優秀賞である『X-KOBE』をいただくことができました。応募者はほとんどが法人で、企業内で新規に立ち上げるプロジェクトの応募が多く、個人でX-KOBEの認定は初めてとのことで驚きでした。

これを機に産業振興財団とのつながりができ、商工会議所にも入ることになりました。X-KOBE をいただいたことで、提携のお話をいただいたり、マスコミに取り上げていただいたりしました。また、事業運営の相談として各種専門の先生方を紹介もしていただき、お商売の経験のなかった私が、経営者として歩む手助けをしていただけることになりました。

ーもし、『KOBEドリームキャッチプロジェクト』に応募していなかったとしたら?

子どもたちの友人知人から口コミで広がり、それなりに売れていったとは思いますが、TVや新聞といったマスコミ媒体に紹介されたりすることはなかったと思いますし、取引先への信用度も低いまで、“主婦の趣味+α”であったと思います。応募しX-KOBEをいただいたことで何より私自身の意識が大きく変わりました。何枚もの書類を書き込むために、事業を進めるための大切な理念、スタイを通してお客様に何を届けたいのか、何を一番大切にしたいのか一生懸命考えました。それまで漠然としていた頭の中が少しづつ整理され、世の中に出したい
スタイ像が具体的にはっきりしてきました。

PJへの応募は一人ではやり遂げられなかったと思います。子ども達の後押しがあって、チャレンジし、家族の協力も得られて、とても良い形となりました。

ー心がけていることや、今思っていることを教えてください。

14年前に頭の中をからっぽにしてゼロからデザイン・生地・縫製方法を考え、まったく新しい価値をもったスタイを世の中に送り出せたことは私の誇りです。今ではお出かけ用だったり、ネクタイ付き、リボン付きなど似たデザインのスタイも増えましたが「赤ちゃんとお母さんに優しい商品でありたい」との思いは創業当時から変わっていません。bib-babのスタイのファンでもある熟練した職人さんが丁寧に縫製し、一枚一枚しっかり検品し、これからも届ける先にいる赤ちゃんを想い、愛情込めて作ってまいります。

過去から現在、そして未来はつながっています。私は家庭の中にずっといた人間で、アパレルの専門的知識も、お商売のいろはも持ち合わせていませんでした。でもだからこそ、先入観なくゼロから全く新しいデザインを生み出すことができたのだと思います。家庭の中でしてきた子育てや、様々な雑事が可愛い孫の為のスタイという起業の出発点にうまくリンクしたのだと思います。

今はまだ子どもが小さい、お金がない、親の世話で大変でも、いずれ機が熟すときはきっときます。あせらないでください。あせると判断を誤ります。今は無理でもあきらめなくてもいいのです。けっしてそこで終わりではありません。その先にその時は来ます。
焦らない、諦めない。

まもなく75歳となりますが、何歳からの出発でもその時が正解なのです。今はスタートできなかったとしても、好きなこと、やってみたいことがあるなら、その気持ちをずっと持ち続けられるといいですね。誰にとっても、木が熟して実がなる時が、いつか必ず来ると思っています。

グランマーマのお針箱

赤ちゃんやキッズのお出かけ用商品のネットショップです。

主力商品はネクタイやリボンの着脱ができ、2WAYで使えるフォーマルスタイ。

それにセーラー襟で後姿までかわいく見えるマリンスタイです。

こだわったのは、赤ちゃんの愛らしさをより引き出すデザインであること、そしてお母さんと赤ちゃんに優しい品々であること、ギフトにも適した高い品質であることです。

出産祝いの他、お宮参りやお食い初め、結婚式への参列などハレの日の衣装としても喜ばれております。

■会社概要

商号  : グランマーマのお針箱

代表者 : 代表 松本 久子

所在地 : 〒194-0031 東京都町田市南大谷1145-12

URL   : http://bib-bab.com

YouTube :https://www.youtube.com/@BibbabGrandmama

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